二十間あまりの崖下へ真逆さま
死者十八、重症十二名
箱根電車転落の詳報
[箱根電話]
墜落せる箇所は宮の下小学校前にて高さ二十間余りの断崖を道路の上迄真逆様に墜落せるもので、車体は全く粉微塵に砕け乗客中死者男十四名女四名で重症既得者男十二名あって、何れも車体とともに真逆様に頭部を衝撃したもので此の乗客は東京人形町の☓☓☓呉服店の一団と判明した。
原因に就いては運転手が危篤のため全く不明である。附近の青年団消防組在郷軍人等総出にて遠近より医師を狩り集め救護に努めつつあり目も当てられぬ惨状を呈している。
ブレーキ利かずアッといふ間に転落
現場で民家二戸半壊
[箱根電話]
墜落の原因については運転手が重症で危篤のため正確なるものを知ることが出来ぬが、電車のブレーキがきかなくなりそれがため急速度に電車がすべり出した為あれよあれよといふ間に高さ二十間の崖下に墜落したものらしく、その墜落箇所には民家二戸ありその真上に落ちた為め二戸の民家は半壊したが幸ひに死傷者なかった。死傷者は全部宮の下小学校に収容した。
信濃毎日新聞 大正五年一月十七日
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