市外四十三ケ町村が面目一新の大計画

四億の予算で十年後に完成
 浮び上る郊外住人


 帝都復興で焼失区域は面目を一新したとはいふものの、山の手と郊外とは旧態依然たる有様で、片手落ちのきらひがあったが、

復興完成を機会に東京郊外四十三ケ町村の大都市計画を実行することに決し


今後新設された都市計画東京地方委員会が中心となって具体案を練っている。
 郊外の計画案は震災前から進められていたのが、復興事業に妨げられて置去りにされ、現在では府で施行の環状線と放射線とがようやくその五割程度に完工したにすぎない。
 しかも

震災を一期として郊外は目まぐるしいばかりの発展を示したにもかかはらず


道は狭いし、下水は不完全で、地方都市の郊外にも劣る醜状をさらしてゐた。
 従って、今度の計画は根本的に樹て直さねばならぬ事になって居り、まづ

道路網の完成をはじめ、下水網を完備し、郊外数ケ所に公園を新設し、風致地区を設定し、塵かい焼却場を統一する等


全般的にわたるもので完成までに十年、総予算四億と見込まれている。

内定した四大公園
 真先に大下水道の完成へ
  この費用一億円也


 この計画が完成の暁には、名実ともに住み心地よい住宅地区が生れる訳であるが、最初に着手されるのは郊外四十三ケ町村の大下水道計画である。
 これは既に委員会で決定を見たが、郊外の下水系統を地形の上から砂町、三河島、江北、羽田の四方面に分ち、それぞれ議係町村で組合を作って施行するはずである。
 この総予算凡一億三千万円で、その半額は町村負担となるはずである。
 風致地区は石神井、洗足池、禅福寺池、江戸川辺の4ケ所と内定してゐるが、多少異論もあってまだ決定に至らない。
 尚内務省では郊外各町村区画整理を進めてゐるが、既に中野、淀橋方面では部分的に進めてをり、幹線道路を中心として町村道の完備を期することになってゐる右について東京地方委員会の西村事務官は語る
 「市外の建設はすっかり手遅れとなってをりましたが、復興事業が済んだので今度は郊外に主力を注いでやりたいと思ってゐます。この委員会は、以前の特別都市計画委員会に代って生れたものですが、一種特別のもので、これからドシドシ具体案をすすめるはずです。まだ創業早々ですが、技師以下五十余人の大世帯でして、これからいよいよ本舞台です」と。

東京朝日新聞 昭和五年四月八日


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