驚くべし大々観音

奈良の大仏様の二倍
 けふいよいよ建立の協議


 けふ十八日午後一時から小川鉄相官邸で素晴らしい大会議が開かれることになった。
 驚くなかれ、御本像の高さ十丈(百尺)の一大観音の尊像を建立しようといふのが、この会議の眼目である。
 この百尺の尊像は更に高さ三丈の台座の上に座するといふものであるから、デカイもののたとへに出る奈良の大仏様の約二倍の高さがあるといふのだから、驚くの他はない。
 これは皇運擁護、民心善導には宗教心の扶植涵養が第一であるとあって

一 観音の大精神によみがへれ
二 思想的国難を救へ
三 日本は世界の精神的指導者なり

等々の宣言で小川鉄相、頭山満、清浦奎吾、小笠原長生、田中弘之の諸氏外数十名の地名の士が発起人となって、護国大観音尊像建立の念願といふ。
 一昨年来準備をしてきたのが、この程実行案もほぼ出来たので、さてこそ発起の随一人小川鉄相官邸の大会議となった。
 清浦奎吾子、金子堅太郎子、頭山満氏、小笠原長生子等の諸氏が参集するといふのだから、兎に角いい加減な話ではない。
 この大観音像の建立地は相州大船駅前無我相山といふこととなり、無我相山の敷地の地均工事もその地の在郷軍人団、青年団、消防組員の奉仕的労作によってこの程完成した。
 山上に建立された暁は、現在世界一と称されてゐる別府温泉の八十尺の大仏像より五十尺高く、丸ビルよりも二三十尺高い。
 原型は単に彫刻師に任せず、観音信仰者が集まり、信者の凡百の手によって合作したものであるといふから、これも変わっている。

相州の大船町を選んだ理由は、


仏教の言葉に、観音はしゃばの衆生は煩悩のこの岸から菩提の彼岸へ渡す船いかだ師と言われてゐる所から、大船の地に観音の存在を信ずる信仰的因縁によって選んだもので、それに大船駅は汽車の往来頻繁で、一日約百二十往復、一列車千人とすれば、約十二万人は無我相山頂にそびゆる大観音に接して心行くばかりの歓喜と信仰の念を育むことが出来るといふのも狙いどころであるといふ。
 工匠は元海軍造船少将岩野直英、福井順平両氏で、石川島造船所に依頼することになってゐるが、この作り方がまた変わってゐる。
 それは、近代建築の鉄筋コンクリートで

コンクリートには銅紛を混ぜる


ので、その結果は銅像と少しも変わらず、鉄筋コンクリート芸術であるともいふことだ。
 工費は約二十万円で、建立費は一般の喜捨に仰ぎ、完成は本年秋の予定で、御大典の大儀をことほぐため、大々的開眼式を挙行するはずであるといふから早いこともまた素晴らしい。
 鉄相や前記の御歴々が大会議を開くに至ったのも、共産党事件で世相険悪なため、一日も早くこれを具現して「光は日本より、光は観音より!護国大観音の建立により思想的国難を救へ!」の大目的を実現せんがためであるといふ!

東京朝日新聞 昭和三年四月十八日

大船観音のその後と履歴
 wikipedia 「大船観音寺」
 大船観音寺


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