わが子の死體を犬の喰ふに任す

前報

栗城の人非人的自白 杉並町の生首事件


 大崎署では生首事件の犯人の栗城☓☓の自白により廿六日早朝から協議したが、共犯関係と廿四日夜の実地検証の結果から見て死体を埋没した場所につき疑ひがあるので廿六日から再び取調べたが、また彼は「死体は埋めずにただ縁の下へ放り込んだ」と陳述を変へ、

その死骸は二月廿五日頃から腐乱し悪臭を放ち付近の犬が毎日四、五匹づつ来て喰ひはじめてゐたのを知ったけれども「どうすることも出来ず、夜などは縁の下で骨を噛む音がモリモリ聞こえ眠れなかった」

と陰惨な話を申し述べた。
 なほ検事局から長谷川検事が出張し若林署長や松永司法主任などと協議したが、長谷川検事は現場に係官とともに実地検証に向かった。

深夜の宿に刑事を訪ねて訴ふ 愛児殺しの端緒


 愛児殺しの生首事件のは一年半を経て謎を解決したが、この謎の扉の開かれた端緒は山形県米沢署の小関、菅原両刑事であったといふ探偵奇談がある

去る

四月はじめ米沢署では全国的病院荒し北海道小樽市生れ前科一犯永田※※を検挙した際、両刑事は事件の捜査で宮城県鹽釜(しおかま)町に出張し、ホテルに宿泊したが、当時ホテルに女中奉公してゐた栗城妻が深夜突然人目を避け部屋を訪ね「米沢署のお方と聞いてお願ひいたします」と栗城並びに愛児との関係を一部始終物語った。
 これを聞いた両刑事は大に

同情し

「及ばずながら協力する」と別れて以来いろいろと手続きを運び、最後に妻を荏原署に駆け込ませたが、遂にこの大きな事件を暴き出すに至ったもので、妻は去る九日上京、小関刑事部長あて荏原署に行く旨の手紙を寄せた。

東京日日新聞 昭和五年五月二十七日

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