社会局の敷地に不思議な貸家

市議が無償で借りて 高い権利金をとる


 災害後本所被服廠跡表通りである市社会局敷地約八百坪に、半永久の店舗式バラック五十戸が新築され、一戸三百円の権利金を徴収してゐる場所が、市有地であり惨禍のあった表通りの事だから、廿九日午後の本所区会協議会ではこの不可思議な貸家が

問題となり

調査すると、小石川区選出の市会議員松永東氏が避難民救済と称して社会局より無償で借り受け、避難民救済どころか権利付きで店舗貸し屋を建築したことが分かった。
 そこで同区の角野市議らは、卅日午前市役所に社会局長代理の吉田助役を

訪問し

その真相調査をせまったが、吉田助役も事情を聞いて驚いている。
 角野市議は憤慨して、「本所区のものでなく他区の市議が割込んで名を慈善にかって、こんな事をするのは怪しからぬ」と区会では怒っている。
 聞くところによると貸家は、約束済みと全部張札して避難民を収用すると市に

約束して貸した

にかかはらず一戸三百円ばかりの権利金を取って貸しているらしいが、区ではたたきこはしてしまふといっていると。

市では貸さぬ 
 怪しからぬと吉田助役憤慨


 吉田助役は不思議貸家について
 「ただ今本所の角野さんが尋ねられたところだが、何でも松永氏は現場のものに避難バラックを建てるといって建てられたもので、正式に市として許してゐない。若しバラックでなく営業用とすれば怪しからぬ話で、避難民用にまはすか、或ひは差し止めるかもしれぬ」と昂奮していた。

東京日日新聞 大正十二年十二月一日

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