あす一番地球に 火星が近づく

毎晩六時ごろには
 真東の空に現はる



人の住むといふ火星は、今一番地球に近付いてゐる。最も地球に近いのは十六日で、その距離約二千三百万里。この頃は毎晩午後六時に真東から一寸北寄りの地平線上から上ってゐる。光は一等級で、同じ頃に西の空に光る宵の明星(金星)よりやや劣るが、これを除けば一番光が大きく、その色が赤いので誰にもよく判る。七時、八時と夜がふけるにつれてだんだん上ってきて、真夜中には丁度頭の上に来る。十六日からは少しづつ遠ざかり、幾らかづつ光が薄らいで行くが、何分光の強い星のことだから、正月中は誰にでも見えるはずである。

火星は今が春
 氷原や森林も見える
   山本一清博士の話



火星は約二年目毎に地球に近づくのであるが、今度は従来と異なり余程緯度が高いので、日本のやうな北半球の国からは非常によく見える。今、火星は地球の三月頃の気候で肉眼でよく見えるが、もし望遠鏡で観測するのなら直径三インチ百倍以上の大きなものが必要で、それでみると、このごろは火星の北半球に積雪や氷原が見え、南半球には森林地帯や砂漠が見える。
けだし火星の北半球は今冬で、南半球は夏の終はりであるからだが、これからだんだん北半球の氷が解け、南半球に雪が降ることになるので、今年は太陽の黒点が多く、その行動が盛んだから火星の雪解けも早いだらうといはれている。
大阪毎日新聞 昭和三年十二月十六日

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