日本兵を殺した中国人 その男になって入国

家族もまんまと欺いたが
 淀橋署に捕まる


 去る五月五日、盗みの疑いで東京淀橋署に捕まった住所不定、無職前科一犯清水正雪が実は中国の李海清で、数年前上海で日本人を殺し、日本人になりすまして不法入国していたことがわかり、近く東京地検から強制送還されることになった。

 自供によると、終戦後現地義勇軍から国府軍に加わったとき、清水さんと知り合った。友達などから双子か兄弟かといわれるほど二人は似ていたという。
 こういうことから李は清水さんの家族の様子まで知り尽くすほどの友達になっていた。
 中国内戦で二人とも負傷、上海の国府陸軍病院に入院した。
 「彼の家には五反の土地と妹がある。これを売りとばしたら」と李は二十四年七月のある夜、解剖用のメスで清水さんの心臓を突き刺して殺し、メスを清水さんの手に握らせ自殺と見せかけた。

 間もなく国府軍の撤退で台湾に逃げ、国府軍憲兵になった。殺したときポケットから盗んだ手帳があるので、日本人と名乗れば日本に行けるというので、将総統に日本人と名乗って出た。日本人は徴兵に取っていないというので不審がられたが、結局日本人であるという同総統の証明書を持って去る二十九年七月七日大阪に帰った。この間に自分の体に清水さんの顔をつないだ写真を清水さんの郷里に送り、行方不明で嘆いていた家族を喜ばせておいた。

 船から帰国の電報を打ち、大阪港で清水さんの妹や親類と涙の対面という芝居も打った。これは当時各新聞に大きくのせられたという。しばらく清水さんの郷里で手伝っていたが、小さい頃の出来事を清水さんから聞いていなかったので食い違いがたびたび起こり、いたたまれず逃げ出し、去年清水さんと小学校時代同級だった都内某中学の先生を頼って上京した。その先生は何しろ清水さんが昭和十七年に渡満しているので記憶が薄らいでいるが、寝言にまで中国語を言うので首をひねっていたという。

 ところが中国にいた時に「女は簡単に売れる」と思っていたことは大きな間違い。そのほかいろいろと夢も消え、やけになり悪事を働くうち、去年職務質問で自転車数台を盗んだことがわかり淀橋署に捕まったもの。

郷里の調べでは本人


 清水正雪について朝日新聞大阪支社では清水の郷里などに事実を紹介して調査したところでは、この男は清水正雪本人であり、中国人だというのは中国に渡りたいためのウソ自供だもいわれ、いったいこの男が日本人なのか、中国人なのか妙な疑いを深めている。

 東京から手配を受けた松山地検宇和島支部では殺されたという清水正雪の事情を調べたところ、問題の李海清は当の清水で中国、台湾の事情に詳しいことから第三国人を名乗れば罪をまぬかれ、あこがれの台湾に送り返してもらえるだろうと考えた自作自演の供述であることがわかった。

 清水は父親がなく、郷里に身寄りもないため一昨年七月いったん郷里に引き上げ、三カ月ばかり後友人を頼って東京に出たが、郷里にいるころ中国か台湾に行きたいと近所の人にたびたび語っていた。

調べには間違いないはず


鈴木淀橋署長談
 相当慎重に調べたので間違いないはずだ。むろん清水さんの家族にも会った。小さい時のことが食い違っており当の清水さんとは思えないといっている。

殺人明かでも裁判権はない


法務省刑事局の話
 日本にいる外国人が、外国で日本人を殺したことが明かな場合でも、日本には裁判権はない。結局この場合不法入国で処分するほかはない。

朝日新聞 昭和三十一年七月十一日

【文庫】 中国 大嘘つき国家の犯罪 (文芸社文庫 み 1-2)
文芸社
宮崎 正弘

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 【文庫】 中国 大嘘つき国家の犯罪 (文芸社文庫 み 1-2) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




"日本兵を殺した中国人 その男になって入国" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント