テーマ:白蓮

同棲十年の良人を捨てゝ 白蓮女史情人の許に走る (5)

<<(4)より続く>> 宮崎君の告白  燁子を救ってやるのは僕の義務です   親爺には叱られるだらう  相愛に結ばれた白蓮夫人と宮崎君とは、これからの後は行くべき所迄行く覚悟であらうが、愛人宮崎君はどう考へてゐるか。昨二十一日小石川関口町の事務所に同君を訪ねると、やゝ驚ける態度にて語った。  「今更隠しても仕方がありません…
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同棲十年の良人を捨てゝ 白蓮女史情人の許に走る (4)

<<(3)より続く>> 春秋に上京の時  散歩や観劇の楽しさ  桜の咲く頃と、別府の紅葉がやゝ色づく頃になると伝右衛門氏夫妻は東京に出てくるのを慣はしとしてゐたその春の一日、加留多の一夜に追想(おもひで)の跡をたどって居た夫人は、伝右衛門氏と共にその年の四月早々上京した。  白蓮夫人はその翌る朝実家柳原家に出かけると云って市…
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同棲十年の良人を捨てゝ 白蓮女史情人の許に走る (3)

<<(2)より続く>> 青春の力に 恋の芽生え  「指鬘外道」の出版打合せが縁の初め   忘れがたき別府の一夜  斯うした背景に立った筑紫の女王も、いたづらな名門の出というのっぴきならぬ因襲的の桎梏にしっかりと囚われて、煩悶と懊悩の日々を血も滲み出る様な人知れぬ涙の裡に送っていた。  黄金の針金 に編まれた籠に飼はれた小鳥の…
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同棲十年の良人を捨てゝ 白蓮女史情人の許に走る (2)

<<(1)より続く>> 処女の誇りを早くも捨てゝ   金の力に引かれつゝ 再婚の筑紫へ  斯うした神の手すさびのやうな運命の萌しは然し二十年の昔に培はれていたのである。  深窓に育まれた燁子姫は十六の若さに京都上賀茂の北小路子爵家に話があって処女の誇りをそこに捨てゝ輿入れしたのである  そして明くる十七の春には一子功光を儲…
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同棲十年の良人を捨てゝ 白蓮女史情人の許に走る (1)

東京駅に伝右衛門氏を  見送り其儘姿を晦ます  その美しさと金の力とから筑紫の女王とまで謳はれ、新しき女流歌人としては白蓮女史で通った伊藤燁子は、過日来良人伝右衛門氏と相携へて上京、日本橋数寄屋町島屋旅館に滞在してゐたが、二十日午前九時三十分東京駅発の特急列車で良人伝右衛門氏を一足先に郷里福岡に送り踊らしめると共に、自分は旅館へも帰…
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